「やきものに「功生」っていう落款があったけど、作者はどんな人?」
「陶芸家の安納功生について知りたい!
安納功生(アンノウコウセイ)は、趣味で陶芸をしていました。
落款は「功生」です。
安納功生は私の祖父です
安納功生が亡くなり、功生の長男である私の父(@okidokian)が遺作展で配布するために冊子を作成しました。
その時に作成した冊子「安納功生のやきもの」を元にご紹介します。
安納功生について調べている方の参考になれば幸いです。
安納功生とは?趣味の域を超えて陶芸をしていた
安納功生(アンノウコウセイ)とは、栃木県宇都宮市出身です。
趣味でやきものをしていました。
周囲からは「趣味の域を超えていた」と評判だったそうです。
ちなみに本名ではなく雅号です。
落款は「功生」です。
写真の撮影場所は栃木県宇都宮市にある多気山不動尊です。
題字は安納功生の同級生に書いていただきました。
略歴
年月 | 内容 |
昭和02年 | 栃木県宇都宮市生まれ |
昭和45年 | 益子春日陶苑高嶋光嘉先生に師事 |
昭和53年 | 宇都宮市に築窯(宝樹窯) |
昭和59年 | 全国小鉢展で東京新聞社賞 |
昭和59年 | 全国小鉢連盟賞受賞 |
昭和60年 | 陶光会会員に推挙 |
昭和63年 | 陶光会全国陶芸展で谷中田賞受賞 |
平成02年 | 日本樹石協会常任理事就任 |
平成04年 | 6月2日永眠 享年65歳 |
菊地春陽氏と共に栃木県宇都宮市で小鉢の制作に精進していました。
菊地春陽氏と度々、二人展を開催していたそうです。
安納功生の残した言葉
茶陶・花器等を制作していますが、特に盆栽小鉢を主力にしています。
引用:安納功生のやきもの
何故か陶芸界から異端視されている盆栽鉢を、美術品として充分鑑賞に耐えられるものに………が目標です。
勿論実用(盆栽培養)に適さないものは論外です。
釉の変化とか、大きいものにない苦労がありますが、今後も挑戦を続けて行くつもりです。
(昭和63年9月)
主なる収載書
その他
紺野心山さんよりコメントをいただいています。
ちなみに写真のキッズが私と私の姉です。
安納功生が作成していたやきもの
やきもの
引用:安納功生のやきもの
それは彼の人生における最大のテーマであったに違いない
土もみから ろくろ廻し 成形 薬作り 窯入れ
土もみ一つでも人にやらせたら
自分の気持ちは土の中に宿らない
作り手の匂いがしなきゃだめなんだ
よく口にしていた言葉である
写真の撮影者は一部を除き、功生の長男である私の父(@okidokian)です。
「辰砂流掛茶碗(経10.5cm)」だけはプロのカメラマンが撮影しています。
鉢
鉢
仏を彫る 龍を刻む
引用:安納功生のやきもの
仕上げは焼〆にしようか
無心に土に染まる
ほっと一息ついてみる
頭の中が爽やかだ
時の経つのを忘れていた
茶碗
茶碗
茶の湯では 主役をなす茶碗
引用:安納功生のやきもの
手にとって撫でさすり
土味 釉味 先行きを
微妙な触感の上にまで楽しむ
深い心情表白の仲立ちとして
無声のうちに
優雅に客に語りかけている
香炉・花器
香炉
日光連山の秀峰を仰ぐ
引用:安納功生のやきもの
雪化粧をした男体山だ
香の中に無限の世界が展開する
自然の息遣いが
微かな音を立てて
近づいてきた
花器
大好きな花を生けた花瓶がある
引用:安納功生のやきもの
木洩れ日の中に
しわの増えた
女房の笑顔がひかる
ふと 初孫の誕生を思い出し
ほのぼのと
充実感に浸るのである
仏像・ぐい呑み
仏像
たくさんの仏が生まれてきた
引用:安納功生のやきもの
おむすび仏 手もみ仏 にぎり仏
やさしい顔 あどけない顔
いたずら小僧もいる
生まれてきた事を 喜び合っているように見える
仏たちは 土の香る十本の指先から生まれてきたのだ
安納功生の作品の中で、私は仏像が一番身近に感じます。
安納功生のお墓に置いていたからです。今は外れてしまったので自宅にあります。
栃木県宇都宮市にある多気山不動尊にも以前は何体か置いてあり、私が幼い頃はよく家族で見に行っていましたが、今は無くなっています。(地震でどこかに落ちた?)
私の姉はお守り代わりにランドセルの中に入れていたそうです。
ぐい呑み
酒に酔い やきものに酔う
引用:安納功生のやきもの
まさに極楽浄土である
ああ 人生は楽しい
こんな小さなぐい呑みにも
一つ一つ美の感動がある
人生の生き甲斐を感じている
まとめ
安納功生(アンノウコウセイ)について、冊子「安納功生のやきもの」を元にご紹介でお送りしました。
- 安納功生は栃木県宇都宮市出身
- 趣味で陶芸をやっていた
- 栃木県益子町の春日窯に入門
- 菊地春陽氏と共に栃木県宇都宮市で小鉢の制作に精進した
- 落款は「功生」
- 作成していたのは鉢、茶碗、香炉、花器、仏像、ぐい呑みなど
本業がありながらも、陶芸という趣味を極めていた祖父を偉大に感じます。
安納功生の「やきもの」をお持ちの方は、これからも大事に使っていただけると家族一同嬉しく思います。
▲最後に功生の長男である私の父(@okidokian)のコメントです